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Elephant

Elephant_c0061033_105830.jpgエレファント
米国コロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフにした映画。
特にストーリーらしいストーリーもなく、ラストの「あの瞬間」までの一日が高校生たちの視点で坦々と描かれている。
犯行に及んだ少年の一人がピアノで奏でる「エリーゼのために」とベートーベンの「月光」は高校生の繊細でガラスのように壊れやすい心を表しているようで、強烈な存在感を放っている。


この映画、かなり衝撃的。
高校生たちの何気ない会話やありふれた一瞬一瞬の全てが、ラストの「あの瞬間」で破壊されることを観客は既に知ってしまっているから、ある意味で残酷な映画だと思う。
そして、ガス・ヴァン・サントが作る映画はどれもそうだけど、斬新なスタイルが衝撃的。
台詞はほとんどが即興だったそう。どうりでリアルなわけだ。
そしてどのシーンにも間が結構あって、観る者に考えさせる作りになっている。

あの事件をニュースで知ったときは、すごくショックだった。
高校生が高校生を殺すなんて・・・。
犯行の動機などは未だに解明されておらず、事件の大部分は謎に包まれている。
ただ、子ども自身や銃社会だけの問題ではないことは確かだと思う。
アメリカ社会だけの問題でもない。
この作品はある特定のメッセージを放っているわけではないけれど、あの事件について考える新たな視点を与えてくれる。

by akio-511 | 2005-10-15 23:59 | 映画  

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